なぜHRの後ろにStrategyをつけたのか その2
HRの後になぜStrategyをつけたのか その2
前回のコラムでは
Strategy Statement (戦略文章)
が重要であるとお伝えしました。
そしてそれは
戦略的思考から導き出される
と解説しました。
今回は経営者の方に、
戦略的思考に基づいた
成長企業に共通する経営手法を
お伝えしたいと思います。
結論から言えば、
人の心と頭を共通の目標に向かわせる事です。
もちろん目標の前に目的があり、
その目的を達成するために目標を掲げます。
なお目的と目標は表裏一体なので、
どちらかが欠けていれば
何も達成する事ができません。
目的と目標を達成するためには
戦略(Strategy)が必要です。
前置きが長くなりましたが、
目標と戦略を実行するためのプロセスが
最も重要であり、
その重要性を理解している経営者は
ビジョンを戦略にして、
それを完璧に実行する能力を得る事ができます。
成長企業の共通点として、
従業員を惹きつけ、
最高の結果に結びつくプロセスが
「仕組み化」「見える化」できています。
つまり従業員の主体的な勢いを生み出し、
結果を持続させられる
実行のプロセスができているのです。
一人一人が明確な役割を持ち、
その役割を測定でき、達成すれば称えれる。
そんな組織風土になっていますか?
なお成果を出す経営者が
影響を与えられるものが2つあります。
1.戦略
2.実行する組織の能力
ちなみに戦略の約65%は
従業員の行動の大転換を必要としますが、
多くの経営者はそのことを考慮していないか、
計画に組み込んでいません。
実はほとんどの会社の問題は
従業員に問題があるのではなく
「システム」に問題があるのです。
例えば以下の3つです。
1.目標の曖昧さ
2.目標に対するコミットメントの欠如
3.報告責任(アカウンタビリティ)
なおフォーチュン500による
17業界・500企業・約1万3千人の
リーダーから得られた調査結果があります。
その調査結果から、
成長企業に共通する実行プロセスが
判明しました。
次はその調査結果をご紹介します。
成長企業に共通する実行プロセス
調査結果から得られた事実として
成長企業に共通している
「システム」は以下の通りです。
1.最重要目標にフォーカスする
2.先行指標に基づいて行動する
3.行動を促すスコアボードをつける
4.アカウンタビリティのリズムを生み出す
(*1〜3が実行プロセス)
少しだけ補足します。
1.最重要目標にフォーカスする
チームがより多くのことを達成するために
経営者はより少ないことにフォーカスをする。
2.先行指標に基づいて行動する
これはレバレッジの規律です。
なお先行指標に基づいた行動こそが
戦略実行の秘訣です。
・先行指標とは
目標達成を予測できるもの
・遅行指標とは
売上高、利益、顧客満足度など
先行指標が決まれば、
それらは目標を達成するための
テコの作用点となります。
3.行動を促すスコアボードをつける
意欲的に取り組むための仕組み。
つまり進捗状況が目に見える状態
にしておくことです。
(数値化する事が理想)
4.アカウンタビリティのリズムを生み出す
これは戦略実行を実現するものです。
例えば定期的な節目を持つ機会。
1on1などがこれにあたります。
上司と部下が対話を通して、
相互理解を深め信頼関係を深める。
そのことがチームとしても会社としても
思考や行動、結果に違いをもたらす事は
周知の事実です。
もう1つは、
すべきことを自分で決めて
約束をすれば責任感は増します。
ケースにもよりますが、
人前で宣言したり、誰にでも見える状態に
すればより自分の発言や行動に責任を持つ
ようになります。
そのことが個人としても組織としても
戦略実行の実現性を高めることに繋がります。
セイバーメトリクスとは?
映画の「マネー・ボール」をご存知でしょうか?
ブラットピットが主演の映画で
統計学的手法を用いて、
MLB随一の貧乏球団である
アスレチックスをプレーオフ常連の
強豪チームに作り上げていく話です。
この話は、上記で解説してきた
ビジネスで成長していく企業とも
共通している点に驚きがあります。
本映画を簡単に説明すると、
まず野球を
「27個のアウトを取られるまでは終わらない競技」
と定義づけました。
そしてそれに基づいて勝率を上げるための要素を
セイバーメトリクスを用いて分析しました。
*セイバーメトリクスとは
アメリカ野球学会の略称SABR
Society for American Baseball Reseach
と測定基準(metrics)を組み合わせた造語。
つまりデータを統計学的見地から客観的に分析し
選手の評価や戦略を考える分析手法です。
過去の膨大なデータの回帰分析から
得点期待値
(三塁までに獲得が見込まれる得点数の平均)
を設定し、それを向上させることのできる
要素を持った選手を「良い選手」としました。
「状況 (運) 」によって変動する数値は
判断基準から排除され、
本人の能力のみが反映される数値だけに
絞り込んで評価することが最大の特徴です。
打者や野手で重視される要素は、
出塁率・長打率・選球眼です。
投手では、与四球が少ない事・奪三振・
被本塁打数・被長打率です。
この話をビジネスに置き換えると
以下になります。
戦 略 = 重要目標
測定基準 = 先行指標・スコアボード
成長企業に共通する実行プロセスは
野球の世界でも通用しています。
ぜひ皆さんの会社にも、1~4の実行プロセスを
構築してはいかがでしょうか?
HR Strategyには、
従業員や顧客のデータを蓄積しつつ、
この実行プロセスが実現できる
システム(仕組み)を設計しています。
ぜひ導入をご検討ください。
最後に
最後に
世界的に有名な臨床心理学者の
フレデリック・ハーズバーグの
言葉をご紹介します。
「達成を経験する機会を与えられた時、
人は自分の仕事に最も満足する」
とあります。
野球でもそうですが、
チームが勝つには、テクニックや手段によって
士気を上げる必要はありません。
重要な目標に取り組み、
達成することから生まれる満足感の方が
遥かに士気を高める事ができるのです。
貴社の経営戦略 (Strategy)を見直し、
冒頭にご紹介した
人の心と頭を共通の目標に向かわせる事
に取り組むことをお勧めします。
企業が成長していく条件の1つに、
従業員が日々の仕事で
”働きがい” を感じている状態があります。
そうした従業員は、
少なからず "幸福感" を持っています。
経営戦略とは戦略的思考そのものです。
その戦略的思考の差が、
経営力の差に繋がる事は
言うまでもありません。
なぜHRの後ろにStrategyをつけたのか
その理由が伝わっていれば幸いです。
最後までお読みいただき有難うございました。